NHA CHANG [ニャチャン]

もうかれこれ1年半ぐらい経ってしまった。記憶を辿りながら、少しずつ書き足していきます。

戦慄の夜を越えて朝7時過ぎに、5ドルの窓のまったくないホテルの部屋で目覚めます。昨日起こったことが現実なのか、ということに、しばし唖然としながら持ち物とお金を確認してからタバコを一本。そうするとなんだか笑いがこみ上げてくるのです。あはは、そうだココはベトナムだ、と。しかもハノイでもホーチミンでもない、今まで一度だって聞いたことのない小さな地方都市ニャチャンなんだ、と。次の都市「ホイアン」へ向うバスは18:00。それまでホテルに荷物を預けて街をキックすることに。
ニャチャンという街は、東側を比較的きれいな、こんなところまでいるかってぐらい、リゾート丸出しの白人達が肌を焼いているビーチがあって、そのビーチ沿いに太い幹線道路、巨大なリゾートホテルがぽつぽつと。

ホテル建設中

ビーチ沿いの幹線道路

白人さんがマッサージを
その内側はいわゆるベトナムの地方都市的風景で、ダム市場という市場が北側にあって、そこから3階建てぐらいの建物が比較的ゆったりと建っている、という感じ。道は何箇所か大きな交差点があって、それぞれに軸が微妙にずれていて、方向感覚が狂いやすい街という印象でした。
まずはビーチ沿いの幹線道路を北へ北へ向ってみます。相変わらずの強い日差しの中、幹線道路は舗装の状況もよく、すいすいと進みます。
ダム市場
ダム市場へ。ホーチミンの時の「ザ・観光」な市場の感じではなくって、地域の人がしっかり利用しているような「本物」の市場。相変わらずキックボードが物珍しいみたいで指を指されて、手を振って、恥ずかしそうにニヤッと笑う、そんなやり取りを繰り返しながら、あまりの暑さに水を買って、ダム市場の東側にあるロンソン寺へ。ここは小高い山の上に巨大な仏像があるらしく、ロンリープラネットによると「ビーチとこんなもんしかないぜ、ニャチャンは」みたいなことが書いてあったので、とりあえず行ってみます。入り口には地元の小学生らしき子供達が何か買えと寄ってくるものの、キックボードの魅惑に負けて、「俺に貸せ、いや私が先に」というようなやり取りの後、「入り口はコッチだ、ここは無料の寺だから入場料なんか要らないぜ、その乗り物はココで預かっておいてやるから、ゆっくり見てこいや」と結構流暢な英語をしゃべる子供に、まあ大丈夫か、と思ってキックボードを預けて階段をゆっくり上る。そうすると「私はここの正式なガイドだ、隣りの中学で英語を勉強しながらボランティアでガイドをしている、コッチだ」「ココはこういう歴史の由緒ある寺だ」「写真を撮ってやるよ」と、頼んでもいないのにしゃべるしゃべる。振り返ると街が良く見えて気持ちの良い風もふいて、ゆっくり回りたかったのに急かしてどんどん登って行く。すると「この絵葉書をあげるから僕らの学校に寄付をしてくれ」と。いくらでもいいのか、と思ってまあ1000ドンぐらいでも寄付してあげよかな、と思って1000ドンを出すと「20万ドンくれ」と。20万ドンって1500円だぞ、1500円。昨日泊まった宿は600円だぞ。
「寄付はしないよ」とはっきり告げても、案内は続き、「5万ドンでいい」「いや、払わない」というようなやり取りが続き、最後には「なんでだよ、こんなに一生懸命案内してやったのに、お前はひどいヤツだ」というような事を嘘泣きしながら言いやがって「バイバーイ」って言ってやったら「ファックユー」みたいな事を。やっぱりいわゆる観光地ってやつは嫌いだよ。そんなヤツらがいるって事はキックボードも危険!と思って急いで入り口に戻ると「早かったなもっとゆっくりすればよかったのに、ありがと」といってちゃんとキックボードを差し出した。
ベトナムの国民性って「騙し取れ」的なキケンな人も確かにいるんだけど、義理堅いというか、コッチの善意を踏みにじるようなことって一切なかった気がします。でも気分悪かったな、あれは。
ロンソン寺の寝ブッダ