HCMC2日目 その2

2005/11/5
危険な建築現場を離れ、また街の中に。お土産のことも考えなければならないので、いくつかのいかにもお土産屋さんというお店に入ります。そこで改めて思ったことがあります。それはベトナムという国は「果てしなく安っぽいものが、バカみたいな安い値段で売買されている」という事実。ちょっとでもまともなものを手軽(くまなく探せばいいものも絶対にあります、旅の後半で漸く見つかりましたが)に見つけようとするならば、るるぶやらのガイドブックに載っている、日本人が押し寄せる「お土産屋さん」に行くのが手っ取り早い。ただ、そこで売っているものは、まともなものもいくつかありますが、これなら日本で買ってもいいかな、というものばかり。更に値段も相当に高い。(ベトナムの物価からすると、ということですが)これからハノイまでの長旅を考えるとどうしても購入に踏み切れませんでした。これは、結果的に正解だったわけですが。
お土産探しにも疲れてしまって、ハノイがある!と問題を先送りにして、ホーチミンから大体5kmぐらい離れた「チョロン」という中国系の人が多く住むエリアにある市場に足を伸ばすことにしました。もちろん足はkickboard。道はわかりやすく、この道をまーっすぐ行けば、近くに市場がある、その辺はまあ行けばわかるだろう、と思っていました。比較的広いどこまでも真っ直ぐな道を、カブに混じりながら、数多くの視線を浴びながら、進みます。
東京の街というのは、たとえば新宿のような高層ビルが立ち並ぶ中心地があって、その周りは徐々に建物の高さも低くなり、住宅街も増えてくる、というような、とてもわかりやすいスプロールがあると思います。しかし、ベトナムはいくら進んでも道沿いには相変わらず商店が延々と続き、人口密度もカブの量もほとんど変わらず、ということがKickしながらわかってきます。しかし、街の看板が漢字で書かれたモノが増えてくることで、徐々にチョロンに近づいていることだけは地図を見なくともわかりました。そして、それと同時に何かわからないのですが、身体の内部から「ココハ ナントナク キケンデス」という信号が発せられていることに気づきます。まーっすぐの道がT字路になり、そこを左に曲がったとあるベンチに座って、タバコを一本吸ったとき、「ああ、一人だなぁ」と初めて思いました。空港を出た時ではなくって、チョロンのどこだかわからないこの場所で。空港やホーチミンでは観光客として僕を見る目がありましたし、日本人もたまに見かけることもありました。そういうことはなんだか少し煩わしい事だ、なんていう生意気な思いがあったのに、いざそういう場所に立ってみると、怒涛の孤独感。そして何よりも僕が今立っているこの場所がどこかわからない、というクラクラする緊張感。道はほとんど一本道で、どれぐらい走ってきたかということもわかります。帰ろうと思えば、なんの苦労もなく帰れることはわかっているし、目的の市場にはもうすぐだとは思ったのですが、来た道を引き返すことにしました。こんなところで夜になったらたまったもんじゃない。 怒涛の孤独とクラクラする緊張感
ただ、街の大きさ、雰囲気を感じられたのは非常によかったです。疲れてはいましたが、帰り道のかなりスピードは出ていたと思います。チョロンのエリアを抜けると、キケンシグナルは徐々に小さくなっていきました。後で知ったのですが、「チョロン」というエリアは地元の在住の人でも少し緊張するエリアだったようです。第六感ともいうべき感覚が僕にもあるんだなぁと後から少し感動したのと、無事でよかったなぁ、と。
行きに来た道を戻っているので、徐々に落ち着きを取り戻してきました。その時ちょうどその時に道端から「おーい」と呼ぶ声がありました。道の角でコーヒーを飲んでいる子供連れの夫婦が僕を呼びとめ「コーヒーでも飲んで行け」と。(このことがわかるまで指差し会話帳での長いやり取りがもちろんあった訳ですが)僕が席に座ると、周りからぞろぞろと人が集まりだし、子供達はkickboardを仲良く乗り回し、指差し会話帳に載っている発音の悪いベトナム語を僕がしゃべると、みんなどっと笑い、少し甘いコーヒーが疲れた僕の身体と心に染み渡りました。
ふぅと一息
小一時間ほど話していると(話すというのには少し語弊があるかもしれませんが)雨が降り出してきました。そうすると、目の前を通るバスを指差し、「アレに乗って行け」と。確かにバスにはホーチミンと書いてありました。「よし、次はバスに乗ってみよう」ということでkickboardを折りたたみ、バスに乗り込みました。
バスの中から
カブに混じりながら、雨の中あっという間にベンタイン市場の前にあるバスターミナルに到着。[4000d=32円] そうそうこれがやりたかったんだなぁと気分を良くしながら、ホテルの近くの目星をつけておいた貝が山積みになった屋台でサイゴンビールをのみます。[6000d=48円] 右隣に座る静かに本を読みながら飲む兄ちゃんからパパイヤを貰い、左隣に座った30過ぎのお姉ちゃんからアヒルの孵化する前の食べかけのゆで卵を貰い。
食べかけのアヒルの卵
そうやって最後のホーチミンの一日が終わっていきました。