ムイネーという街について

オンボロバスは何とか、お昼過ぎにムイネーの安リゾートホテルに到着します。ホテルの従業員らしき人たちが、「ここは$5だ」としきりに客引きをしていました。バスの欧米人はほぼ、そこに泊まるようでした。ここでも事前に日本で調べておいたおすすめホテル[hau ai]へkickboardを組み立て出発。ハンドルに荷物をかけることで、重い荷物もへっちゃらです。ブッキングオフィスからはkickでものの3分ぐらい。道から見えるホテルの雰囲気はどうもしっくりきませんでしたが、中に入ると掃除もよく手が行き届いていて、真ん中にはプール。それを囲むようにかわいい小さなコテージが並んでいました。

僕のコテージ
奥にはプライベートビーチ。交渉の末、エアコンなし、朝ごはん込みで$15ということに。僕なりの精一杯のリッチでした。ただ、宿泊客は僕一人でした。これが何よりの贅沢でした。
まずは荷物をおいて、ホテルから3kmほど離れたムイネー湾にkickで向かうことにします。ムイネーという街は、元々漁港として栄えた街のようで、そこから少し離れた海沿いにいわゆる高級リゾートが建設され、そのスキマに僕が泊まったような少しランクの下がるリゾートがある、というような構成になっていました。僕の泊まったhau ai hotelはリゾートエリアの漁港よりの端に位置していて、ムイネー湾・漁港に出るにはもってこいのところにありました。整備された海沿いの一本道を進むと、奥に色とりどりの船と、大きなザルのようなお碗形の舟がびっしりと湾内に留まっていて、キラキラと輝く海に青い空とあいまって息をのむ様な景色が広がっていました。
ムイネーの街へ続く一本道
ムイネー湾
しばらく進むと商店が連なる街が現れ、そこがムイネーの中心市街地。更に進むとムイネー湾の港に出ました。港といっても別に岸壁があるわけでもなくただの海岸なのですが、そこではイカが水揚げされていて、その海岸で売買が行われているようでした。海からは思いのほかカラリとした風が吹いているし、HCMCに比べてとてもゆったりとした時間の流れの中で、ギラギラの太陽でしたが、とても気持ちがいい。
港に出た
水揚げしています
その港を一通り見た後、細い道を入って中心市街地のほうに向かってみます。細い路地をくにゃくにゃと歩き回るうち、道端にチェの屋台を見つけました。明らかに観光客なんて来ない場所だったし、ニコニコと人なつっこく笑う顔につい立ち寄りました。すると子供達が僕のkickboard目当てに集まりだし、おばちゃんはアヒル卵(もちろん孵化寸前のやつ)食え、と騒ぎ出すし、笑いに包まれながら何故か温かいチェ[1000d=8円]を飲みながらアヒルの卵[1000d=8円]を食べていました。このままずっといるとずっといることになりそう(笑)だったので出発。更に街中を目指します。
道端のチェ屋さん
次はおれだ、と
さっきの温かいチェが口の中でどうにもたまらなくなり、うどんみたいな食べ物を食べさせる屋台に。ちょっぴりピリッとしたちょっとのびたうどん[2000d=16円]を食べながら、また周りの人に囲まれて、kickをお調子者のおっちゃんが乗り回して転んでみんなで大笑いしたり、デジカメで写真を撮ってあげると、恥ずかしそうに笑ったり、ああ、ムイネー来てよかったなぁと心から思った瞬間でした。しかし、物価がこうも違うものか、と思うぐらい安く、また、観光客目当てのある種ギラギラとした視線ではなく、変な乗り物に乗った変なやつ、という視線が、心地よかった。
うどんみたいな食べ物、16円
集まってきた子供達
Kickに乗る人を見る人たち
多分、ムイネーにくる観光客というのは、基本的に欧米人であくまでリゾートを楽しみに来ている訳で、僕がうどんを食べている横を欧米人が運転するすごいスピードのジープが走り去って行ったことがあったけど、端的に表すと、そういうことなんだろうな、と納得してしまいました。別にベトナムじゃなくっても良かったんです、きっと彼らには。
「ハワイもオーストラリアもフロリダももう全部行っちゃったから、じゃあベトナムにでも。」
ホテルに戻って、洗濯をして一息つくと、誰もいないプールに入ってみることにしました。僕しか泊まってないから、どこを泳いでもいいし、どこに座ってもいいし。1時間ほど泳いでは休んでを繰り返し、シャワーを浴びてビーチへ。基本的に海は砂が多く混じっているのか、水自体はにごっていてきれいではないのですが、椅子に寝そべって、ビールを一本開けながら海を眺めると、もう何にもいらない。本も読もうと思って持ってきたのですが、わざわざこんなところに来て、「経済学入門」なんて読む気にならない(笑)ゆっくりと時間は流れ、夕食を食べることにしました。ホテルの中の海際に建つレストランは、客僕1人に対して、店員は15人ぐらいいたでしょうか、ビール[8000d=64円]とえびのフリッター[40000d=320円]を注文し、ゆっくり食べました。3日目にしてベトナムの空気にドロリと混じっていくような感覚がありました。
海沿いのレストラン
コテージに戻って寝る準備。さすがにエアコンなしは暑い。そして、窓を開けるとものすごい蚊が。コレには参りました。ベッドに蚊帳が張ってあった意味が漸くわかりました。ただ、少しのスキマもなく、ベッドにもぐりこむのは至難の業。どこからか絶対に蚊が侵入してきます。かといって窓を閉めたら大変なことになります。やむを得ずシーツにすっぽり包まって暑い!と思いながら、でも、いつの間にか結構疲れていたのでしょう、あっという間に眠りにつきました。